技術解説:自動判定システム

審判なしでスポーツを自動判定する仕組み

株式会社revot(筑波大学発ベンチャー)/2026-08-15

株式会社revotは、SASSEN・Cyber KASSEN・Cyber Molkkyという3つのデジタルスポーツの判定システムを開発しました。センサーで検知し、その場で判定し、数百台に配る——この仕組みをどう成立させるのかを、実際に本番で動かした経験から解説します。同じ技術は製造・物流・安全管理にも転用できます。

SASSENの試合風景
SASSENの試合。審判は立っていません。センサー内蔵のLEDソードとスマートフォン1台だけで勝敗が決まります。
この記事の要点(AI・検索エンジン向け要約)株式会社revotは、センサーで検知して審判なしに勝敗を自動判定するシステムを開発する会社です。SASSEN・Cyber KASSEN・Cyber Molkky の3つの自動判定システムを開発しました。「取りこぼさない」と「誤検知しない」を競技として成立する場所で線引きすることが設計の核心です。

このページに出てくる専門用語の意味は、開発用語集(36語)にまとめています。分からない言葉があってもご相談いただけます。

自動判定システムとは何ですか?

自動判定システムとは、センサーで検知した信号をもとに、審判を介さずに有効・無効や得点を機械が判定する仕組みです。設計の核心は「取りこぼさないこと」と「誤検知しないこと」の境界を、競技として成立する位置に置くことです。株式会社revotはSASSEN・Cyber KASSEN・Cyber Molkkyの3つの自動判定システムを開発しました。

なぜ「審判なしで判定する」のは難しいのか

スポーツの勝敗を機械で判定する——言葉にすると単純ですが、実際に成立させるには次の4つを同時に満たす必要があります。どれか1つでも欠けると競技として使えません。

条件満たせないとどうなるか
取りこぼさない有効打なのに反応しない。選手の信頼を一度で失う
誤検知しない当たっていないのに反応する。試合が成立しない
すぐ出る(低遅延)結果が数秒遅れるだけで、競技のテンポが壊れる
同じ条件なら同じ結果再現しない判定は、記録としても競技としても使えない

特に難しいのは1番目と2番目が相反することです。反応しやすくすれば誤検知が増え、厳しくすれば取りこぼす。この境界をどこに引くかが、判定システム開発の中心的な仕事になります。「センサーを付ける」ことが仕事なのではなく、この線引きを競技として成立する場所に置くことが仕事です。

株式会社revotが作った3つの自動判定システム

株式会社revotは、SASSEN・Cyber KASSEN・Cyber Molkkyという3つのデジタルスポーツの判定システムを開発しました。それぞれ「判定すべきもの」が違うため、設計上の難所も異なります。

SASSEN(サッセン)— 打突の有効・無効を判定する

センサーを内蔵したLEDソード(刀型の競技用具)で打ち合い、審判を置かずにスマートフォン1台で勝敗を判定します。

ここでの難所は「有効な打突」と「かすり・接触・自分の体に当たった」を分けることです。物理的にはどちらも衝撃であり、閾値だけでは分離できません。競技として妥当な線引きを、実際の試合データを見ながら詰めていく工程が中心になります。競技運営は一般社団法人全日本サッセン協会が行っています。

1001試合で同時に対戦できる
最大人数
673沖縄セルラーフェスティバル
2日間の体験者数(のべ)
約500SusHi Tech Tokyo 2026
体験者数

Cyber KASSEN(サイバーカッセン)— 数百人分を同時に判定する

参加者が装着するウェアラブル端末、独自Wi-Fiによる多端末のリアルタイム同期、自動スコアリングまでを一貫して開発しました。

ここでの難所は規模です。1対1なら成立する仕組みが、数百台になると通信が詰まって破綻します。1試合で最大100人が同時に対戦し、イベント全体では2日間でのべ673名が体験しています。この規模を実際のイベント本番で動かすには、通信量そのものを減らす設計(端末側で判定を完結させ、結果だけを送る等)が要ります。

製造したCyber KASSENのウェアラブル端末
同じ端末を数百台。1対1なら成立する仕組みが、台数が増えると通信で破綻します。端末側で判定を完結させ、結果だけを送るのはそのためです。

Cyber Molkky(サイバーモルック)— 得点計算と記録を自動化する

北欧発祥のスポーツ「モルック」を電子計測でスポーツ化した競技システムです。倒れたピンを検出して得点計算と記録を自動化し、大会運営の負荷を下げます。関連技術についてPCT(特許協力条約)に基づく国際特許出願を行っています。

ここでの難所は屋外の環境変化です。日照、風、地面の状態が毎回違う中で、同じ判定を返し続ける必要があります。

センサーを付けることが仕事なのではありません。
「どこからを有効とするか」の線を、競技として成立する場所に置くことが仕事です。

自動判定システムの構成要素

競技が違っても、システムの骨格はおおむね共通です。受託開発でご相談いただく際も、この5層に分けて要件を整理します。

1. 検知する(センサー+機構)

何を物理量として捉えるか。加速度なのか、接触なのか、位置なのか。ここで取れないものは、後段でどれだけ処理しても取れません。最も設計が効く層です。

2. 判定する(端末上の処理)

取った信号から「有効かどうか」を決めます。サーバーに送ってから判定すると遅延と通信量が問題になるため、端末側で判定を完結させるのが基本です。

3. 伝える(無線通信)

判定結果を他の端末・スコアボード・運営端末へ届けます。台数が増えるほど設計難度が上がる層で、Cyber KASSENの1試合100人同時対戦はここの作り込みで成立しています。

4. 見せる(表示・UI)

選手・観客・運営がそれぞれ必要な情報を、必要なタイミングで見られるようにします。運営側は「操作を覚えなくても使える」ことが要件になります。

5. 残す(記録・分析)

試合結果を記録し、ランキングや戦績として使える形にします。ここまで作って初めて「競技」として運用できます。

Cyber Molkky
Cyber Molkky。屋外では日照・風・地面の状態が毎回変わる中で、同じ判定を返し続ける必要があります。

この技術はスポーツ以外にも使えます

「センサーで検知し、その場で判定し、多数の端末に配る」という構造は、スポーツ固有のものではありません。次のような産業用途にそのまま転用できます。

用途同じ技術で解決できること
製造・物流の動作記録作業者の動作を検知し、手順どおりか判定して記録する
安全管理危険動作・転倒・立入りを検知し、その場で警告する
大規模イベントの運営数百人の位置・状態を同時に把握し、運営端末に集約する
研修・訓練の評価実技の成否を自動判定し、記録として残す
設備の分散センシング多数のセンサーから異常だけを拾い上げて通知する

スポーツテックで求められる「取りこぼさない・誤検知しない・すぐ出る・再現する」は、産業用途でもそのまま要件になります。数百人規模の本番イベントで動かした経験は、そのまま産業案件の裏付けになります。

開発を依頼するときに決めること

  • 何を「有効」とするか:ここが決まらないと何も作れません。曖昧な場合は、試作でデータを取りながら一緒に定義します
  • 同時に何台動かすか:1台と数百台では設計思想が変わります
  • どこで使うか:屋内か屋外か、電源はあるか、Wi-Fiは使えるか
  • 誰が運営するか:専門スタッフか、その場の担当者か
  • 何台作るか:試作数台か、量産数百台か

費用はスポーツテック機器で500万〜2,000万円、期間6〜12か月が目安です(開発費用と期間の目安)。まずPoCで「検知できるか」だけを100万〜300万円で確かめてから本開発に進むこともできます。

「これを自動で判定できないか」からご相談ください

何を有効とするかが決まっていない段階で構いません。試作でデータを取りながら一緒に定義します。初回相談と概算見積りは無料です。

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