アプリ開発の委託・会社選び

アプリ開発会社の選び方|委託先を見極める7つの確認事項

株式会社revot(筑波大学発ベンチャー)/2026-08-27

アプリ開発の委託で失敗する最大の原因は、会社選びではなく「何を頼むかが曖昧なまま発注すること」です。そのうえで会社を比べるときに何を見るべきか、見積りが3倍違う理由は何か、相場はいくらか——実際にApp Storeでアプリを配信・運用している立場から、当社が向かない案件も含めて書きます。

アプリ開発会社を選ぶときは、①どこまで自社で開発するか(再委託の有無)②実際にストアで公開したアプリがあるか③審査でリジェクトされて通した経験があるか④見積りの内訳を工数で説明できるか⑤仕様変更をどう扱うか⑥公開後の保守体制⑦ソースコードが納品範囲に含まれるか——の7点を確認します。費用相場はシンプルなアプリで98万〜300万円、一般的な業務・サービスアプリで300万〜800万円、課金やサーバ連携があると500万〜1,500万円、iOSとAndroidの両方で1.5〜1.8倍が目安です。株式会社revot(筑波大学発ベンチャー)は自社アプリをApp Storeで複数本配信・運用しており、センサーやデバイスを自社設計できるため機器連動アプリを一社で完結できます。

まず決めるべきは「何を外に出すか」

会社を比べる前に決めることがあります。アプリ開発の委託で失敗する最大の原因は、会社選びではなく「何を頼むかが曖昧なまま発注すること」です。

決めておくこと曖昧なままだと
誰が何のために使うか機能が際限なく増え、予算を超える
最初のリリースに何を入れるかいつまでも公開できない
公開後、誰が運用するか納品されたが誰も触れないアプリになる
課金するか後から入れると設計をやり直すことになる
iOSとAndroidの両方が要るか費用が倍近く変わる

すべて決まっていなくて構いません。ただし「決まっていない」ことを自覚したうえで、それを一緒に整理してくれる会社を選ぶべきです。要件が固まっている前提で見積もる会社に、固まっていない案件を出すと必ず揉めます。

確認すべき7つのこと

  1. どこまで自社でやるのか――再委託が多いと、責任の所在が曖昧になります。「設計は自社、実装は外注」は珍しくありません。悪いことではありませんが、把握しておくべきです
  2. 実際に公開したアプリがあるか――「対応可能」ではなく、ストアで実際に配信されているアプリを見せてもらってください
  3. 審査に落ちた経験があるか――落ちたことがない会社は、単に本数が少ないだけです。落ちて通した経験のほうが価値があります
  4. 見積りの内訳を説明できるか――「一式」だけの見積りは後で必ず揉めます。画面数・機能数・工数で分解されているか
  5. 仕様変更をどう扱うか――開発中に要件は必ず変わります。追加見積りになるのか、枠内で調整するのかを先に確認
  6. 公開後どうなるか――OSのバージョンアップ対応、ストア規約の変更対応を継続できる体制か
  7. ソースコードは誰のものか――納品範囲にソースが含まれるか。含まれないと他社に移せません

見積りが大きく違う理由

同じ要件で相見積もりを取ると、3倍以上の差がつくことがあります。安いほうが得とは限りません。

差が出る要因安い見積りで起きがちなこと
設計工程の有無設計を省き、作りながら考える。後で作り直しになる
テストの範囲実機テストが少なく、公開後に不具合が出る
審査対応の有無「申請は別料金」と後から言われる
保守の扱い納品後の修正が全て追加費用になる
ソース納品の有無他社に移せず、値上げに応じるしかなくなる

見積書は総額でなく、何が含まれていて何が含まれていないかを比べてください。

費用の相場

規模費用の目安期間
シンプルなアプリ(画面数少・課金なし)98万〜300万円1〜3か月
一般的な業務アプリ・サービスアプリ300万〜800万円3〜6か月
課金・サーバ連携あり500万〜1,500万円4〜10か月
機器・センサーと連動するアプリ500万〜1,500万円4〜10か月

iOSとAndroidの両方を作ると、1.5〜1.8倍が目安です。詳しくは開発費用と期間の目安をご覧ください。

当社を選ぶ場合の判断材料

公平を期すため、当社が向く案件と向かない案件を書いておきます。

向いている向いていない
機器・センサーと連動するアプリ(ハードも自社で作れる)大規模な業務基幹システムの一部としてのアプリ
作りながら決めたい新規事業すでに詳細設計書が完成していて実装だけ欲しい
審査・課金まで含めて任せたいとにかく最安を求める案件
補助金を使って開発したい即日納品のような短納期案件

当社は自社アプリをApp Storeで複数本、配信・運用しています。審査でリジェクトされ、原因を特定して通した経験が実際にあります。また、センサーやデバイスを自社で設計できるため、機器と連動するアプリでは「機器メーカーとアプリ会社に分けて発注する」必要がありません。

見積書のどこを見れば、その会社が分かるか

複数社から見積りを取ったとき、金額の大小より「何が書かれていないか」を見てください。抜けている項目は、後から追加費用になるか、そもそも想定されていないかのどちらかです。

  • ストアへの申請と審査対応:開発費に含まれているか。「開発は終わったが公開できない」で止まる案件が実際にあります
  • リジェクト時の再提出:何回まで含まれるか。回数無制限と書く会社はまずありません
  • OSバージョン更新への追随:iOSは毎年更新され、動かなくなる箇所が出ます。1年後の対応が有償なのかを確認します
  • サーバー費用:開発費と別に月額が発生するか。誰の名義で契約するか
  • ソースコードの帰属:納品されるか、会社に残るか。ここが曖昧だと他社へ移れません
  • テストの範囲:どの端末・どのOSバージョンで確認するか
  • 瑕疵対応の期間:納品後、いつまで無償で直すか

見積書が1枚で「アプリ開発一式 ◯◯万円」とだけ書かれている場合、内訳を出してもらってください。出せない会社は、自分でも工数を把握していない可能性があります。

安い見積りが、なぜ安いのか

同じ要件で3社に出して、金額が2倍以上開くことは普通にあります。理由はだいたい次のどれかです。

安い理由起きること
テンプレートを流用している他アプリと似すぎてストアで重複と判定されリジェクトされる(ガイドライン4.3)。デザイン・掲載文の作り分けが要ります
要件を狭く解釈している「それは見積り外です」が着工後に出てくる
申請・審査対応が入っていない公開の段階で別費用が発生する
テストが薄い審査でクラッシュを指摘されて落ちる(ガイドライン2.1)
オフショアに丸投げしている仕様の伝達が二重になり、認識ずれの手戻りが増える

逆に高い見積りが常に良いわけでもありません。不確実性が大きいと、受注側はリスク分を上乗せします。仕様を具体的に示せるほど、見積りは正確かつ安くなります。

契約前に必ず確認する3点

  • ソースコードは誰のものか:納品対象に含まれるかを契約書で確認します。含まれないと、その会社から離れられなくなります
  • ストアのアカウントは誰の名義か開発会社の名義で公開すると、アプリは実質その会社のものになります。必ず発注者名義のアカウントで公開してもらってください。後から移すのは非常に手間がかかります
  • 担当者が変わったらどうなるか:小規模な会社では属人化が起きます。仕様書とコードが残る形で進めているかを確認します

この3点は、開発が順調なうちは問題になりません。問題になるのは、その会社と続けられなくなったときです。そのときに動けるかどうかが、最初の契約で決まります。

相談するときに持っていくとよいもの

  • やりたいことのメモ――箇条書きで構いません。文章になっている必要はありません
  • 参考になるアプリ――「これに近い」があると早いです
  • 使う人の想定――社内向けか、一般公開か
  • 予算の上限――伝えたくない気持ちは分かりますが、伝えたほうが早く適切な案が出ます
  • いつまでに必要か――理由(展示会、決算、補助金の期限など)も一緒に

すべて揃っていなくて構いません。「この作業を楽にしたい」だけでも、そこから整理できます。