非GNSSドローン開発

非GNSS(GPSが使えない場所)でドローンを自律飛行させる仕組み

株式会社revot(筑波大学発ベンチャー)/2026-08-03

GPSが届かない屋内・地下・橋梁下で、ドローンはどうやって自分の位置を知り、自律飛行するのか。「非GNSS(GNSS-free)」の基本の仕組みと、屋内点検・インフラ調査で導入を検討するときの着眼点を、開発の現場目線で整理します。

非GNSS飛行の研究機体
ネットを張った屋内で、GNSSに頼らない自己位置推定を検証しています。

このページに出てくる専門用語の意味は、開発用語集(36語)にまとめています。分からない言葉があってもご相談いただけます。

GNSS(GPS)が使えない場所とは

ドローンの多くは、上空のGNSS衛星(GPS・みちびき等)からの電波で自分の位置を測りながら飛びます。ところが、次のような場所ではその電波が届かない、または大きく乱れます。

  • 建物の屋内(工場・倉庫・体育館・プラント内部)
  • 地下(トンネル・地下街・下水道・鉱山)
  • 橋梁の裏側や高架下、鉄骨に囲まれた構造物の内部
  • 高層ビルに挟まれた谷間(マルチパスで測位が暴れる)

こうした「GNSSが使えない環境」で自律飛行させる技術を、総称して非GNSS(GNSS-free)自律飛行と呼びます。設備点検やインフラ調査など、まさに人が入りにくい場所ほどGNSSが届かない、という現場のニーズがここにあります。

GPSの代わりに何で位置を知るのか

GNSSが使えないぶん、機体は自分が持つセンサーだけで位置と姿勢を推定します。中心になるのが次の技術です。

LiDAR / カメラによるSLAM

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は、周囲の形をセンサーで測りながら「地図づくり」と「自己位置推定」を同時に行う技術です。LiDAR(レーザーで距離を測るセンサー)が周囲の壁・柱・地面までの距離を毎秒何十万点も測り、その点群(point cloud)の変化から機体がどれだけ動いたかを逆算します。

IMU(慣性計測)との組み合わせ

加速度・角速度を測るIMUを併用し、LiDAR/カメラの推定と融合(センサーフュージョン)することで、一瞬の遮蔽や急な動きにも位置を見失いにくくします。

手法強み弱み
LiDAR-SLAM暗所でも動く/精度が高い特徴の乏しい長い通路が苦手
Visual-SLAM(カメラ)軽量・安価暗所・無地の壁に弱い
IMU単独高速・遮蔽に強い時間とともに誤差が累積

重要なのは「どれか一つ」ではなく、環境に合わせて複数を組み合わせる設計です。現場が暗いのか、通路が長いのか、粉塵があるのか——条件によって最適な構成は変わります。

取得した点群は何に使えるのか

非GNSS飛行で得られる副産物が、精密な3次元点群です。これを処理すると、次のような成果物になります。

  • 設備・構造物の三次元モデル(デジタルツイン)
  • 変形・劣化・堆積の経時比較(前回計測との差分)
  • 体積計算(土量・在庫山の体積など)

つまり「飛ばすこと」自体が目的ではなく、入りにくい空間のデータを取り、判断に使える形にすることが本当の価値です。

開発・導入で失敗しないための着眼点

1. まず「現場条件」を握る

明るさ・広さ・通路の長さ・粉塵・電波環境で、必要なセンサー構成も費用も大きく変わります。汎用の完成品ドローンをそのまま持ち込んでも、GNSSが無い現場では飛ばないことが多いのが実情です。

2. 「機体」と「データ処理」は別の技術

安定して飛ぶこと(制御・SLAM)と、取れた点群を使える成果物にすること(点群処理)は別分野です。両方を一貫して扱える体制かどうかを確認してください。

3. 小さく試してから広げる

いきなり本番規模で作らず、対象現場の一部でPoC(実証)を行い、精度と運用性を確かめてから拡張するのが安全です。

株式会社revotの取り組み

revotは筑波大学発のテクノロジーベンチャーとして、非GNSS環境での自律飛行とLiDAR点群処理を一貫して扱っています。GNSSに頼らない自己位置推定、点群の取得・処理・三次元復元まで、現場条件のヒアリングから設計・試作・運用までをご相談いただけます。設備点検・インフラ調査・災害対応など、人が入りにくい空間のデータ取得にご活用ください。

「GPSが使えない」と一口に言っても、状況は3種類あります

相談を受けるとき最初に切り分けるのが、どの状態なのかです。対処が全く違います。

状態起きること対処
完全に届かない
屋内・トンネル・橋梁下
そもそも測位できない外部の測位に頼らない自己位置推定が必須
断続的に切れる
ビル間・谷・橋の側面
最も危険。復帰時に位置が飛び、機体が急に動く切れた瞬間の挙動を設計する。切れ替わりを滑らかにする
誤差が大きい
反射の多い場所
測位はできるが数m〜十数mずれる他のセンサーと組み合わせて補正する

実務で怖いのは2番目です。完全に届かない場所は「GPSは使えない」と分かって設計します。ところが断続的に切れる場所では、機体は「測位できている」と思い込んだまま誤った位置を信じます。ここで事故が起きます。切れた瞬間・戻った瞬間に何をするかを決めておくことが、非GNSS飛行の設計の中心です。

GPSの代わりに何を使うか

手段向く場所弱点
LiDAR(レーザー測距)暗所・特徴の少ない場所重い・高価。まっすぐで特徴のない通路は苦手
カメラ(Visual SLAM)模様のある明るい場所暗所・逆光・無地の壁で失う
慣性センサー(IMU)短時間の補間誤差が時間とともに積み上がる。単独では使えない
気圧・超音波・ToF高度の維持水平方向は分からない
UWB等の設置型あらかじめ機材を置ける屋内現場ごとに設営が要る

単独で成立する手段はありません。実際には複数を組み合わせ、状況ごとにどれを信用するかを切り替えます。この「切り替え」の設計が、非GNSS飛行の中身です。

飛ばす前に決めておくこと

  • 見失ったときの挙動:その場でホバリングするのか、着陸するのか、来た経路を戻るのか。決めていないと、機体は予測できない動きをします
  • 通信が切れたときの挙動:位置の喪失とは別問題です。両方を独立に決めます
  • 人の上を飛ぶか:飛ばすなら、落ちても人に当たらない経路を先に設計します。プロペラガード、飛行禁止領域の設定
  • 法令の確認:屋内は航空法の対象外ですが、屋外は飛行区域・機体登録・操縦者資格の確認が要ります。橋梁下は「屋外」です
  • 撤収方法:機体が届かない場所で止まったとき、どう回収するか。ここを考えていない計画が実際にあります

当社はGPSが届かない場所を自律飛行する機体を自社で開発しています。市販機の設定を変えるのではなく、位置推定と制御そのものを実装しているため、現場ごとに「何を信用して飛ぶか」を作り込めます。

非GNSSドローン開発のご相談

アイデア段階からご相談いただけます。補助金・助成金の活用を前提とした開発計画の設計も対応します。

飛行環境の実現可否を相談する(無料)

非GNSS自律飛行の開発 の費用と期間の目安

範囲費用の目安期間
屋内飛行の実証(PoC)150万〜400万円2〜4か月
自己位置推定の実装500万〜1,200万円4〜8か月
機体込み一式1,000万〜2,000万円6〜12か月

補助金・奨励金を使うと実質負担は1/2〜1/3になります。制度の選定から申請、開発、実績報告まで、補助金・助成金のコンサルティング・サポートもrevotグループが全て行います。採択を保証するものではありません。詳しくは開発費用と期間の目安をご覧ください。