ネットワーク計測ノート 03

ポートが開いているかを
iPhoneから調べる

ポート開放が「うまくいかない」の大半は、どこで止まっているかが分からないまま設定を触っていることに原因がある。LAN内の確認と外からの確認を分け、TCP接続の3つの結果を読む。

判定
Open / Closed / Filtered
既定タイムアウト
2.0
指定できる範囲
1–65535
同時接続
50
PUBLISHED 2026-09-02数値は掲載画面の表示例とアプリの実装から

外出先から自宅のNASを開きたい、ゲーム機の通信種別を改善したい、自宅のサーバーに外から届くようにしたい。ルーターで転送を設定したのに動かないとき、切り分けに要るのは「どこまで届いているか」の確認で、設定画面を眺め直すことではない。SockettaはTCP接続の結果を3つの表示にまとめ、確認する場所は2つある。

01 / STATESTCP接続で分かる3つの状態

SockettaのポートスキャンはTCP接続方式で、指定したホストのポートへ実際に接続を試み、結果を便宜上Open・Closed・Filteredの3表示にまとめる。TCPのエラー全部を厳密に分けたものではない。一般的なApp Storeアプリでは任意のTCPパケットを組み立てるraw socket型のSYNスキャンは難しいが、ICMP Echoによるpingは実装方法が別で、iOSで一律に不可能ではない。

表示相手の返事意味
Open接続が成立した(SYN に SYN/ACK が返り、ACK で確立)そのポートで何かが待ち受けている。目的のサービスかどうかは別に確かめる。
Closed接続の失敗が確定した(多くは RST による拒否)接続要求に明示的な拒否が返った。対象のホスト自身が拒否した場合が多いが、ルーターやファイアウォールなど途中の装置が返した可能性もある。
Filtered待ち時間内に何も返らなかった待ち時間内に結果が出なかったという観測で、ファイアウォールが捨てたと確定したわけではない。黙って捨てられた、機器がいない、経路がない、応答が遅い、のどれでも同じ表示。3つのうち一番情報が少ない結果。

待ち時間は既定で2.0秒、0.5〜10.0秒の範囲で変えられる。遠い相手や混んだ回線ではFilteredが増えるので、外からの確認では5秒程度に伸ばす。5秒は目安で、Filteredなら時間を変えて再試行する。同時接続は最大50本。ポート欄は 22,80,443 のような列挙と 1-1024 のような範囲を混ぜて書ける。

02 / TWO PLACES「開いている」には2つの場所がある

図は192.168.1.0/24の構成例。実際のアドレスとプレフィックス長はiPhoneとルーターの設定で見る。

LAN 192.168.1.0/24 INTERNET iPhone 192.168.1.23 NAS 192.168.1.57:5000 ルーター(NAT) LAN側 192.168.1.1 WAN側 グローバルIP 転送: 5000 → 192.168.1.57:5000 iPhone Wi-Fiオフ モバイル回線 A LAN内 B B 外から
A: 機器のポートが待ち受けているか。B: グローバルIPのポートに来た接続がルーターで転送され、機器まで届くか。まずAを通すと切り分けやすいが、VLAN、Wi-Fiのクライアント分離、アクセス制御、インターフェースごとの待ち受け設定によっては、Aだけ失敗してBが成功する構成もある。

ルーターの転送設定を確かめるなら見るべきはBの経路で、確認する側は家の外にいる必要がある。iPhoneはWi-Fiをオフにしてモバイル回線につなぐだけで「外の端末」になる。家の中からWAN側のグローバルIPへつないでも、ルーターがその折り返し(ヘアピンNAT)に対応していなければ通らず、転送設定の良し悪しとは無関係に失敗する。ルーターの中では、アドレスを書き換えるNAT、外からの接続を機器へ渡すポート転送、通信を通す・捨てる・拒否するファイアウォールは別の機能で、管理画面で1つの操作にまとまる機種も、別々に設定する機種もある。

03 / PROCEDURELAN内、次に外から

A / INSIDE

LAN内から機器のポートを確かめる

  1. Scannerタブで Mode を Port にする。
  2. Host / IP に機器のアドレス(例 192.168.1.57)、ポート欄に番号(例 5000)を入れる。番号が分からなければ 1-1024,5000,8080 のように範囲で当たる。
  3. Start Port ScanOpen ならサービスは待ち受けている。Closed なら対象か途中の装置が拒否している。サービスの停止、番号違い、機器側のファイアウォール、ルーター側の拒否を順に見る。Filtered なら機器側のファイアウォール、アドレス違い、別のネットワークを疑う。
  4. 結果の行を長押しして Copy Host:Port でコピーし、IPアドレスを転送設定の「転送先IP」、ポート番号を「内部ポート」に入れる。欄の名前と形式は機種で異なる。転送先のIPはDHCP予約か固定にしないと、再起動後に別の端末へ変わることがある。
B / OUTSIDE

外からルーター越しに届くかを確かめる

  1. ルーターの管理画面で転送(ポートフォワード/ポート変換)を設定する。外部ポート 5000 → 転送先 192.168.1.575000、プロトコルはTCP。
  2. 同じ管理画面の「WAN側IPアドレス」を控える。私用アドレスなら上流に別のルーターか事業者側のNATがあり、100.64.0.0/10や管理できない事業者側のNATなら利用者側の転送だけでは通らない(後述)。
  3. iPhoneの設定でWi-Fiをオフにし、モバイル回線で通信している状態にする。
  4. Scannerタブの Port で Host に控えたWAN側IPアドレス、ポート欄に 5000 を入れ、タイムアウトを5秒に伸ばして開始。Open なら、そのグローバルIPのポートにTCP接続できている。目的のNASやサーバーへ転送されたかは、サービスの画面、TLS証明書、アプリの応答、転送先のログで別に確かめる。Filtered は待ち時間内に結果が出なかったという観測で、ルーター、上位のNAT、転送先、経路、パケット損失、タイムアウトの値を順に見る。

Bで Closed が返る場合は、経路上のどこかが明示的に拒否している。転送先に待ち受けがない場合のほか、ルーター自身、上位のNAT、ファイアウォールが拒否した可能性もある。Aの結果、ルーターと転送先のログを突き合わせる。

04 / BLOCKERS設定が正しくても通らない構成

WAN側IPアドレス・回線の状態何が起きているか取れる手
100.64.0.0〜100.127.255.255事業者が複数の契約者で1つのグローバルIPを共有している(CGNAT、RFC 6598の共有アドレス)。外からの接続は契約者に振り分けられない。固定IPや個別のグローバルIPを付与するプランの有無を事業者に確認する。
192.168.0.0/16 / 10.0.0.0/8 / 172.16.0.0/12上流に別のルーターかNAT装置がある。家庭内の二重ルーター(ONU一体型のホームゲートウェイの下に自前のルーターを置いた構成など)のほか、集合住宅の共用設備や事業者側の変換もある。上位のルーターを自分で管理できるなら、上位側にも転送を設定するか、手前のルーターをブリッジ(アクセスポイント)モードにして1段にする。共用設備や事業者側の変換は利用者側では設定できない。
IPv4 over IPv6(DS-Lite)IPv4の変換を事業者側の装置が行う方式で、利用者側でポートの転送を設定する余地がない。IPv6で直接届く経路を使うか、PPPoEとの併用や方式変更を事業者に確認する。
IPv4 over IPv6(MAP-E)グローバルIPを複数の契約者で分け合い、契約者ごとに使えるポートの集合を割り当てる方式。割当は複数の離れた範囲になることがあり、割当の外の番号は外から使えない。80や443は割当に入らないことが多い。割当の表示方法とポート転送への対応はルーターと事業者で異なる。管理画面で自分の割当を確認し、その中の番号を外部ポートにする。
UDPのポートTCP接続方式では判定できない。ゲームやVPN(WireGuardなど)の多くはUDP。ゲーム機のNATタイプはUDPの振る舞いやUPnPが関係し、TCPのポートスキャンだけでは決まらない。Sockettaの UDP/TCP タブから送信して、返事があるプロトコルなら応答で判定する。返事のない設計のものは相手側のログで見る。

なお、多くの家庭用ルーターはWAN側からの管理画面アクセスが初期状態で無効だが、機種や設定で異なり、ICMP Echo(ping)への応答は別の設定項目にある。転送していないポートがFilteredでも異常とは限らない。転送対象に設定したポートの結果は転送の可否を切り分ける観測値になるが、Filteredだけではどの装置が捨てたかは分からない。

確認が済んだら
試験のために開けた転送は閉じる。管理画面の80・443、Telnetの23、リモートデスクトップの3389、VNCの5900は管理・遠隔操作によく使われる番号で、外へ向けて開けたままにしない。Sockettaの自動診断はLAN側からルーターのアドレスの22・23・53・80・443・445・3389・5900・8080・8443を当たり、23、80・8080、3389、5900で接続が成立すると警告する。番号だけでは実際のサービスや応答した機器は分からないので、警告の後にサービス、転送先、認証方式を確かめる。スキャンは自分が管理する機器・ネットワークに限る。
READY ON PORT 03

LAN内からも、外からも同じ手順で

ScannerタブのPortモードにホストとポートを入れて開始。Open・Closed・Filteredの3色で結果が並び、Host:Port形式でコピーできます。

App Store からダウンロード

無料ダウンロード・アカウント不要・計測データは端末内に保存。スキャンは自分が管理するネットワークに限る。