ネットワーク計測ノート 02

Wi-Fiが遅いとき、
回線・ルーター・端末
どこが原因かを分ける

「遅い」には、電波が悪い・ルーターが詰まっている・回線が混んでいる・相手のサーバーが重い、の4通りがある。iPhoneから測れるのはそのうち3つの境界まで。4つの数字の意味と、ルーター宛てと外部宛ての2本の計測で区間を分ける手順。

下り速度
487.3Mbps
応答
11.4ms
ジッター
2.3ms
パケットロス
0.0%
PUBLISHED 2026-09-02数値は掲載画面の表示例とアプリの実装から

動画が止まる、ビデオ会議の声が途切れる、ページが開くのに時間がかかる。「Wi-Fiが遅い」と一言で片付けられがちな症状は、電波・ルーター・回線・相手のサーバーの4か所のどこかで起きている。ルーターを再起動して直ることもあれば、契約回線の混雑で夜だけ遅いこともある。どこで起きているかを、iPhoneから測れる数字で切り分ける。

01 / SEGMENTSiPhoneから見える3つの区間

A
端末 ⇄ ルーター
iPhoneとルーターの間の無線区間。電波の強さ、距離、壁、2.4GHz帯の混雑、同時に使っている台数が効く。
PING → ROUTER
B
ルーター本体
接続台数の処理、発熱、古いファームウェア、二重ルーター構成。区間Aが良好でもここで詰まる。
PING → 8.8.8.8
C
回線 ⇄ インターネット
契約回線と接続事業者の設備。時間帯で変わるなら混雑。相手のサーバーが重い場合はこの先で、iPhoneからは測れない。

ルーター宛ての計測でA、外部宛ての計測でA+B+C。差し引きでB+Cの重さが分かる。

切り分けの基本は、ルーター宛て外部宛ての2本の計測を同じiPhoneで続けて行うこと。ルーター宛てが崩れていれば原因は家の中(AかB)、ルーター宛てが良好で外部宛てだけ崩れていれば原因は家の外(C)と決まる。

02 / METRICS4つの数字が測っているもの

SockettaのSpeed画面には、下り速度487.3Mbps、上り速度42.6Mbps、応答11.4ms、ジッター2.3ms、パケットロス0.0%が並ぶ(掲載画面の表示例)。それぞれの測り方は次の通り。

数字Speed画面での測り方崩れたときに疑う区間
下り / 上り速度Cloudflareの計測用サーバーから1.25MBを8回(合計10MB)ダウンロード、2MBをアップロードし、かかった時間で割る。単位はMbps(1秒あたりのメガビット)。A・B・Cすべて。上限は契約回線かWi-Fiの規格の低い方で決まる。
応答(Latency)同じサーバーへHTTPの往復を5回行い、平均をms(ミリ秒)で出す。A+B+Cの合計。ルーター宛てのPingと比べて内訳を出す。
ジッター8回のダウンロードそれぞれの所要時間のばらつき。応答が速くてもばらつきが大きいと、音声や映像が途切れる。A(電波干渉・台数)が多い。Cの混雑でも出る。
パケットロス8回のダウンロードのうち失敗した回数の割合。1回失敗すると12.5%と出る。0でなければ、まずAの電波。ルーター宛てPingで確かめる。

iOSのアプリはICMPのpingを送れないため、SockettaのPingはTCP接続が確立するまでの時間を応答時間として記録する。Ping画面ではホストとポートを指定し、回数は1〜100回(既定10回)、1秒間隔で送る。応答時間の最小・平均・最大、連続する応答の差の平均であるジッター、失敗した回数の割合であるパケットロスが出る。5秒以内に接続できなかった回が失敗。

03 / PROCEDUREルーター宛てと外部宛てを続けて測る

まずLANスキャンか設定アプリでルーターのIPアドレスを確かめる(例では 192.168.1.1、開いているポートは 53・80・443)。次にWi-FiタブのPingで、次の2本を10回ずつ送る。

計測HostPort見ている区間
1本目192.168.1.180A(+B)。ルーターの管理画面が待ち受けている番号を指定する。80が閉じていれば443。
2本目8.8.8.8443A+B+C。アプリの既定値。8.8.8.8 は80番には応答しないので443のまま。

Batch画面なら複数のホストへ同時に送れる。こちらはポートが80番に固定されているため、外部側は80番に応答する 1.1.1.1 を入れる。ルーターのIPと 1.1.1.1 を並べ、回数5回で走らせると、2区間の応答時間と成功率が同じ画面に並ぶ。

速度は、Speed画面でルーターの真横と普段使う場所の2か所で測ると、区間Aの影響がそのまま差になる。真横で下り487.3Mbpsが出て、離れた部屋でその数分の一に落ちるなら、遅いのは回線ではなく電波の届き方に原因がある。

04 / MATRIX結果の組み合わせから原因を絞る

ルーター宛て外部宛て速度疑う区間次にやること
遅い・ロスあり遅い・ロスありA 電波ルーターの真横で再計測。改善すれば距離・壁・干渉。5GHz帯へ切り替える、中継機やメッシュを検討する。
真横でも遅い遅いB ルーター再起動、接続台数を減らす、ファームウェア更新。二重ルーターなら片方をブリッジ(アクセスポイント)モードに。
数ms・ロス0遅い・ロスあり夜だけ落ちるC 回線時間帯を変えて計測し記録する。夜だけ落ちるなら混雑。PPPoE接続ならIPoE(IPv4 over IPv6)への変更を事業者に確認する。
数ms・ロス0良好頭打ち上限契約速度とWi-Fi規格の低い方が上限。有線のPCで測って同じなら回線契約、有線が速ければ端末側の規格や帯域。
良好良好良好相手側特定のサービスだけ遅いなら相手のサーバーか経路。DNSの応答が遅い場合はルーターのDNS設定を見直す。

05 / THRESHOLDSどこからが「遅い」か

Sockettaの自動診断(AI画面)が段階を分ける境界は、外部宛ての応答が50ms超で注意、100ms超で警告、200ms超で重大。ジッターは30ms超で警告、50ms超で重大。パケットロスは2%超で警告、5%超で重大。下り速度は25Mbps未満で注意、10Mbps未満で警告、5Mbps未満で重大。DNSの名前解決は200ms超で警告、500ms超で重大。

ルーター宛ての応答は、電波が正常なら数msに収まる。掲載画面の11.4msは外部の計測サーバーまでの往復で、家の中の区間はその一部にすぎない。ルーター宛てが2桁msになる、あるいは10回のうち1回でも失敗するなら、区間Aで何かが起きている。

計測の前提
速度はCloudflareの計測用サーバーとの間で10MBのダウンロードと2MBのアップロードから算出。PingはTCP接続方式、待ち時間5秒。Speed画面の応答・ジッター・パケットロスはHTTPの往復とダウンロードの所要時間から算出しており、Ping画面の値とは測り方が異なる。同じ条件で繰り返し測り、差を見る使い方が前提。
READY ON PORT 02

ルーター宛てと外部宛てを同じ画面で

Ping・Batch・Speedの各タブで、応答時間・ジッター・パケットロス・下り上り速度を同じiPhoneから計測。結果はワンタップでコピー。

App Store からダウンロード

無料ダウンロード・アカウント不要・計測データは端末内に保存。スキャンは自分が管理するネットワークに限る。