借入が2件、3件とあるとき、どれから減らすか。残高の少ない順に片付ける「雪だるま式(スノーボール)」と、金利の高い順に片付ける「雪崩式(アバランチ)」。この2つを同じ条件で計算して比べます。以下は月利=年率÷12・元利定額・月末払いとする説明用のシミュレーションで、実際のカードローンや貸金契約では日割り計算が一般的なため、締日、支払日、端数処理、残高スライド、追加利用により結果は異なります。
ここでの雪だるま式は、借金が膨らむ意味の慣用句ではありません。本記事では、小さい残高を優先して完済し、浮いた支払額を次の借入に上乗せしていくシミュレーション上の方法を「雪だるま式」と呼びます。雪崩式は、上乗せを年率の高い借入に集中させる方法。どちらも完済した借入の支払額を残りに回す点は同じで、違うのは上乗せ先の順番だけです。
順番より先に効くこと
ダッシュボードの3件(カードA ¥500,000・15%・月¥10,000、銀行カードローンB ¥300,000・14.5%・月¥15,000、消費者金融C ¥150,000・18%・月¥8,000)を、それぞれ最低額だけ別々に払うと、最長79ヶ月、利息の合計は¥362,494。
月¥33,000という合計額を変えずに、先に終わったBとCの分をAに回すだけで、完済は37ヶ月、利息は¥242,999になります(雪崩式。雪だるま式なら38ヶ月・¥244,432)。増額ゼロで42ヶ月と約12万円の差。順番の比較は、この「回す」を前提にした上での話です。
例1 — 3件・月¥43,000
最低額の合計¥33,000に¥10,000を上乗せした場合。
- 消費者金融C 9ヶ月目
- 銀行カードローンB 24ヶ月目
- カードA 27ヶ月目
- 消費者金融C 9ヶ月目
- 銀行カードローンB 16ヶ月目
- カードA 27ヶ月目
差は¥4,235。完済は同じ27ヶ月です。どちらも最初はC(残高が最少で、年率も最高)なので、分かれるのは2件目から。雪崩式ではAに上乗せしている間にBが最低額だけで24ヶ月目に終わる(実際に上乗せが発生するのはCとAだけ)。雪だるま式ではBが16ヶ月目に終わる。3件の年率が14.5〜18%に収まっているため、順番による差は小さくなります。総支払額は雪崩式が¥1,119,970、雪だるま式が¥1,124,205。
Bが上乗せなしでも24ヶ月で終わるのは、最低額¥15,000が残高¥300,000の5%と大きめで、年率14.5%の利息を含めて計算するとその月数になるからです(無利息なら20ヶ月)。Aの最低額¥10,000は残高¥500,000の2%。本例では、最低額の残高に対する比率が、上乗せの有無とは別に、それぞれの完済時期を大きく左右しています。実際の完済時期は年率、利息の計算方式、支払方式、締日・支払日にも左右されます。
例2 — 2件・年率差が10ポイント
X(カードリボ ¥400,000・18%・最低額¥12,000)とY(銀行ローン ¥150,000・8%・最低額¥8,000)。月の予算は¥30,000で、最低額の合計¥20,000に¥10,000を上乗せします。
| 雪崩式(X先) | 雪だるま式(Y先) | |
|---|---|---|
| 1件目の完済 | Y 21ヶ月目 | Y 9ヶ月目 |
| 全体の完済 | 22ヶ月 | 22ヶ月 |
| 利息の合計 | ¥81,372 | ¥91,567 |
差は¥10,195。期間は同じ22ヶ月です。予算を¥25,000に絞ると、雪崩式が27ヶ月・¥105,084、雪だるま式が28ヶ月・¥113,848で、差は¥8,764と1ヶ月。
雪だるま式の側に出るのは、1件目が終わる時期の早さです。例2ではYが9ヶ月目に消えるのに対し、雪崩式では21ヶ月目。件数が減る時期が12ヶ月違います。
予算を最低額の合計¥20,000ちょうどにすると、両方式とも36ヶ月・利息¥145,661で、まったく同じ結果になります。上乗せがゼロの間は順番の出番がなく、Yが21ヶ月目に終わって浮いた¥8,000がXに回るだけだからです。例1でも、¥33,000ちょうどなら差は¥1,433にとどまります。順番の差は、上乗せがあって初めて生まれます。
3つの例の差
| 条件 | 期間の差 | 利息の差 |
|---|---|---|
| 3件・月¥43,000 | 0ヶ月 | ¥4,235 |
| 2件・月¥30,000 | 0ヶ月 | ¥10,195 |
| 2件・月¥25,000 | 1ヶ月 | ¥8,764 |
他の条件が同じで毎月の総支払額を一定に保てる場合には、年率の差が大きく、年率の高い方の残高が大きく返済期間が長いほど、雪崩式による利息の差が広がる傾向があります。例1の残高・最低額・月予算では、年率差が3.5ポイント以内で、最初の優先先も両方式で同じため、順番による差は小さくなっています。今回の3例では、返済順の違いよりも、月の総支払額を増やした場合の影響の方が大きくなりました。
各借入は毎月、本記事で設定した固定の基準支払額(本文の「最低額」。利息+1円を下回らない、はアプリが計算を続けるための条件で、実在商品の約定ではない)を払う。実際の約定支払額は契約により異なり、残高スライド方式では途中で変わる。カードのショッピングリボでは契約上「利息」ではなく「手数料」と呼ばれるが、本記事では便宜上まとめて「利息」と表記する。予算の余りは優先順位1位の借入に上乗せ。完済した借入の最低額は翌月から余りに加わる。優先順位は開始時に固定(雪崩式=年率の高い順、雪だるま式=残高の少ない順)。RevoKillerの「戦略」画面と同じ計算です。
手元の借入で順番を比べる
複数の借入を登録して月の予算を入れると、雪だるま式と雪崩式の完済順・完済月・利息の合計が並びます。
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